朝起きた時に首や肩が重だるいと感じたり、しっかり寝たはずなのに疲れが取れないと悩んでいませんか? その原因は、あなたの姿勢にあるかもしれません。姿勢の悪さが睡眠不足や肩こり・首こりといった不調につながるメカニズムや、睡眠の質を高める簡単なエクササイズなどについて、当店店主の井立田 祐樹に聞きました。
監修者紹介

井立田 祐樹(いたつだ・ゆうき)
整体師・整体サロンwarm forest店主。1985年埼玉県川口市生まれ。愛歯技工専門学校で学び、歯科技工士と介護福祉士の資格を取得する。卒業後は歯科技工士として2社に勤務するも、身体のしくみや健康への関心から2018年に整体師へと転身。埼玉県に本店を置く整体院で施術経験を積む。2024年12月、お客さま1人ひとりとより深く向き合う接客・施術を目指して独立。2025年1月に東京・代官山の整体サロンwarm forestを開店し、現在まで代表をつとめる。
朝起きた時の「首・肩の重さ」は、寝ている間の姿勢に原因がある

――毎朝すっきりと目覚めたいのに、起きた瞬間から首や肩に重だるさを感じることがあります。これはなぜでしょうか?
井立田:
ぐっすり寝たはずなのに、朝から重だるい。こうした不調の原因は、寝ている間の姿勢にあるかもしれません。睡眠は、日中の活動で疲労した筋肉を休ませるための大切な時間です。しかし、体に負担のかかる寝姿勢を続けていると、無意識のうちに首や肩の筋肉が緊張して血流が滞ってしまうんです。
人間にとっての理想的な寝姿勢は、リラックスしてまっすぐ立った状態に近い、背骨の自然なS字カーブを保てる姿勢だと言われています。骨格にゆがみがあると、寝ている間にこのS字カーブを維持できず局所的な負担が強まり、朝の不調へとつながってしまうのです。
――そうなんですね。寝ているときの姿勢が悪くなる原因は、どのようなところにありますか?
井立田:
最近はデスクワークやスマートフォンの多用もあって、働く女性の多くが「巻き肩」や「反り腰」といった骨格の歪みを抱えています。こういった姿勢不良は、睡眠中の「呼吸」にとても大きな影響を与えます。例えば、巻き肩になると胸郭が狭まってしまうので、肺を十分に膨らませることができなくなります。また、反り腰は骨盤の傾きを変えてしまうので、横隔膜のスムーズな動きを制限してしまいます。
その結果として、無意識のうちに呼吸が浅くなり、睡眠中も体がリラックスモード、つまり副交感神経が優位な状態に切り替わりにくくなります。この状態がずっと続くと、脳や体の緊張が解けず、睡眠の質がグッと低下してしまうんですよ。
ですから、睡眠環境を整えるためには、単なる姿勢の悪さだと放置せずに、早めに骨格の歪みをケアして「深く呼吸ができる体」を作ることが重要です。ただ、睡眠中にひどいイビキをかいたり、呼吸が止まったりしているような場合は、睡眠時無呼吸症候群などの病気のサインである可能性も高いですから、必ず医療機関を受診するようにしてくださいね。
――呼吸が浅い状態が続くことは、冷えやむくみ、肌荒れの原因になると聞きました。
井立田:
そうなんです。骨格の歪みや、それに伴う浅い呼吸による睡眠不足は、自律神経のバランスを大きく崩す原因になります。本来なら、睡眠中は副交感神経が優位になって、全身がリラックスして末梢の血流が促進されるのが正常な状態です。ところが、睡眠の質が低下すると、交感神経が優位な状態が続いて血管が収縮してしまいます。これが、冷えやむくみ、肌荒れなどを引き起こすこともあります。
ですから、慢性的な冷えやむくみは単なる体質ではなく、神経や骨格からのSOSかもしれません。ただし、長引く強い冷えやむくみは、甲状腺疾患や腎疾患など重大な病気のサインである可能性もあります。異常を感じる場合は決して我慢せず、医療機関に相談してくださいね。
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寝る前3分でできる!睡眠の質を高める簡単「姿勢リセット術」
――私は朝の肩こりや首こりがひどく、枕をいろいろと変えているのですが、いっこうに改善しません。これも姿勢が崩れているせいかもしれませんね。
井立田:
当店にいらっしゃるお客様の中にも、「首が痛いから」と高価なオーダーメイド枕を購入された方がいらっしゃいますが、それでもなかなか不調が改善しないというケースは珍しくありません。不調の根本的な原因が「枕」ではなくて、お客様自身の身体の構造、つまり「骨格」に潜んでいることが多いからなんです。
ストレートネックや背骨の歪みが慢性化している状態では、どんなに高機能な枕を使っても、首から肩にかけての筋肉の緊張を完全に解くことはできません。良質な睡眠を得るためには、もちろん睡眠環境や寝具を整えることも大切ですが、まずはご自身の体の歪みや癖を正しく把握することが最優先です。便利なアイテムに頼る前に、まずは今の姿勢がどういう状態にあるのかをチェックしてみましょう。
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――自宅で簡単にできる姿勢リセット術はありますか?
井立田:
私のおすすめは、寝る前3分で行う「胸開きストレッチ」です。やり方はとても簡単です。
- バスタオルを巻いてポール状にし、ゴムでしばって固定します。
- ポール状のバスタオルを縦に置き、ポールを背骨に沿わせるようにして仰向けに寝ます。このとき、バスタオルが左右の肩甲骨の間に来るように調整しましょう。
- そのまま両手を横に大きく広げ、ゆっくりと5回深呼吸をします。

このストレッチをすると胸の筋肉がじんわりと伸び、日中のデスクワークなどで丸まった巻き肩がリセットされます。さらに、胸郭が広がるので睡眠中の呼吸も深くなるんです。それに、心地よい程度のストレッチは、心身の緊張をほぐして副交感神経を優位にする効果もあるので、スムーズに眠りにつくうえでも効果的です。
長年かけて染み付いてしまった骨格の歪みや深い筋肉の緊張があり、セルフケアで解消するのは難しい。そんな方は、当店の姿勢分析や施術をぜひご利用ください。客観的なデータや専門家の視点から、お客様の身体のどこに負担がかかっているのか、なぜ睡眠の質が落ちてしまっているのかを、論理的に紐解いていきます。

良質な睡眠は「美しい姿勢」から。根本的な骨格ケアで健やかな毎日を
人生の約3分の1を占めると言われている睡眠ですが、その質を高めることは、日々のパフォーマンス向上だけではなく、長期的な美容と健康の土台づくりに直結してきます。良質な睡眠の鍵は、「枕」などの寝具以上に、あなた自身の「姿勢」つまり「骨格」が握っているのです。睡眠負債を抱えがちな現代の働く女性にこそ、その場しのぎのケアから抜け出して、根本的な骨格ケアに目を向けていただきたいなと思っています。
美しい姿勢は、深い呼吸と良質な睡眠をもたらして、内側から輝かせてくれますよ。まずは自分の身体と向き合って姿勢を整えることから、健やかで充実した毎日をスタートさせてみませんか。
参考文献
-
- 日本整形外科学会「寝違え」
- 厚生労働省「睡眠と健康」
- 厚生労働省「健やかな睡眠と休養」
- 日本整形外科学会「肩こり」
- 厚生労働省「快眠のためのテクニック-よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」
- 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」
- 厚生労働省「睡眠時無呼吸症候群 / SAS」
- 厚生労働省「自律神経失調症」
- 厚生労働省「眠りのメカニズム」
- 厚生労働省 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「冷え」
- 厚生労働省 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「むくみ」
- 日本内分泌学会「甲状腺機能低下症」
- 日本腎臓学会「腎臓がわるくなったときの症状」
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 厚生労働省「ストレッチングの実際」
- 厚生労働省「ストレッチングの効果」