「美容法は水をたくさん飲むこと」……スタイル抜群のモデルさん、俳優さんのそんな発言を聞いたことはありませんか。わたしたちの身体の60%以上は水分でできているため、水を飲むことが美容と健康につながるというのは本当です。でも、ただ水を飲むだけでは十分な効果は得られません。この記事では、日々アンチエイジングに励むアラフォー美容ライターが、美容に効果的な水の飲み方を徹底調査。さまざまな文献をもとに、1日に飲む水の量から水を飲むのに適したタイミング、水を飲むのが苦手な人にお勧めの工夫までをご紹介します。
ライター紹介

大住 奈保子 Nahoko OSUMI
美容ライター。愛読書はVOCEとMAQUIA、試したコスメは数知れずのアラフォー。話題の美容法はまずやってみる主義で、レポート記事を量産している。最近の悩みは目じりのシワと顔のたるみで、美容医療にも興味津々。
水を飲むとどんな効果があるの?
美肌効果
ハリとツヤがあって、うるおいに満ちている。陶器のようにキメが細かく、血色がいい。そんな美肌になるために必要不可欠なのが、水分です。水を適切に飲むことで、皮膚の角質層に十分な水分が保たれ、お肌のうるおいやハリを維持してくれるからです。このはたらきによって、年齢とともにどうしても目立っていくシワやたるみも予防できます。それだけではありません。水を飲むことは、血流も促進してくれるんです。水分が不足している人は血液がドロドロになり、老廃物をうまく排出できなくなっていることも。水を飲んでサラサラの血液にすることで新陳代謝(ターンオーバー)が活発になり、ニキビや吹き出物、くすみのない透明感のあるお肌に近づけます。水分補給によって肌細胞が活性化され、毎日のメイクや紫外線で受けたダメージが修復されやすくなるといううれしい効果もあるようです。
ダイエット効果
キレイにダイエットしたい人にも、水分補給がお勧めです。老廃物や毒素の排出を助ける水分が不足すると、腎臓や肝臓といった臓器の働きが低下し、体内に不要な物質が蓄積されやすくなります。これによって、ダイエットの効果が出にくくなる可能性があります。ダイエットを成功させるためには十分な水分をとって有害物質を排出し、体内環境が整えておくことが大切です。さらに水を飲むことには、基礎代謝を高めるはたらきもあるのだとか。冷たい水を飲むと身体は体温を維持するためにエネルギーの消費量を増やし、脂肪燃焼を促進するそうです。Boschmann et al.の研究(2003年)によると、500mlの冷水を飲むことでエネルギー消費が約30%増加することが分かっています。運動後に水を飲むことは、美容的にも理にかなっているんですね。
冷えやむくみ、便秘の解消効果
「冷えやむくみが気になるから、水を飲まない」という人、それは逆効果かもしれません。特に脚や手などの末端が冷えたりむくんだりする人は、血液の循環が悪くなって酸素や栄養素が身体のすみずみまで行きわたっていない可能性があります。むくみそうだからと水分を控えると血液循環がさらに悪くなり、冷えやむくみが悪化してしまうかもしれません。さらにPopkin et al.の研究(2010年)によると、水分を適切にとることは便秘解消や血圧の安定化、疲れの改善や集中力アップにも効果的です。水を飲むことは、身体の内側から健康的に美しくなるための近道だと言えるでしょう。

水を飲むだけでこんなに美容効果があるんだ。今日からやってみよう!
美容に効果的な水の飲み方って?
1日何リットル飲めばいいの?
美容オタクなら一度は耳にする「1日2リットル説」。でも、仕事などで外出している日に2リットル飲みきるって、結構大変じゃないですか……? たしかに成人の目安は1.5〜2リットルとされていますが、「体重に応じて調整が必要」だそう。体重で言うと、一般的に「体重(kg)×30ml」が1日の目安とされています。体重50kgのわたしなら50kg×30ml=1,500で、1日1.5リットル飲めばいいということになります。水分は食べものにも含まれているので、実際に飲まなければいけない量はもっと少ないかもしれません。量よりも重要なのは「飲み方」だそうで、一度に大量の水を飲むと腎臓に負担がかかり、せっかくとった水分がすぐ体外に排出されてしまいます。水中毒や低ナトリウム血症を引き起こす可能性もあるので、1時間に1リットル以上飲むのはNG。少量をこまめに飲むことを心がけましょう。

必ずしも2リットルじゃなくていいって知って、ちょっと安心~。
水を飲むのに良いタイミングは?
水を飲むベストタイミングは、朝起きた直後。汗や呼吸などによって、寝ている間には想像以上にたくさんの水分が失われています。朝起きてすぐに失われた水分を補給すれば、全身の代謝アップが促進されて美容効果抜群です。食事の前後も水を飲むのにいいタイミング。特に食事の前に水を飲めば満腹感がアップしてダイエットにいいだけでなく、消化を助けてくれるので内臓をいたわる効果もあります。ほかには脱水になりがちな入浴前後や、就寝前に夜間の脱水を防ぐ目的で水を飲むのもお勧めです。「1日〇リットル飲もう!」と意気込まなくても、必要なタイミングで確実に水を飲むようにすれば、必要な水分量を自然とクリアできそうですよ。
ベストな水温・水の種類は?
硬水に軟水、ぬるま湯に冷たい水……。ひと口に「水」と言っても、水温や水の種類はさまざまです。水温でいうと、美容にいいのはやはり常温またはぬるま湯。消化器官への負担が少なく身体にやさしいのが、その理由です。冷たい水は一時的に代謝を上げますが、内臓を冷やす可能性があるため、日常的に冷水を飲むのはお勧めしません。水の種類でいうと、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルが豊富に含まれるミネラルウォーターは美容に最適。硬水には独特の口あたりで飲みにくいものもありますが、肌の新陳代謝を高めて古い角質を除去するはたらきなどが期待できます。ダイエット中の人には、満腹感をアップする炭酸水もお勧めです。ただし、過剰摂取は胃腸に負担をかけることがありますので注意してください。
それでも水を飲みにくいときは?
「水が美容にいいのはわかったけど、味が苦手」という人は、フルーツや野菜、ハーブなどで味付けした「デトックスウォーター」を試してみましょう。レモンやオレンジなどの柑橘類やキュウリ、ショウガなどの野菜、ミントやバジルといったハーブはデトックスウォーターにピッタリで、味に変化をつけながらビタミンなどの栄養素も補えます。見た目もあざやかで、ポットに入れておくだけでワクワクしますよ。
デトックスウォーターの作り方
基本の材料
- 水 500ml
- お好みのフルーツ(レモン、オレンジ、ベリー類など) 適量
- ハーブ(ミント、バジルなど) 適量
- 野菜(キュウリ、ショウガなど) 適量
手順
- フルーツや野菜を薄くスライスします。
- ピッチャーやボトルに水を注ぎ、スライスした材料を加えます。
- 冷蔵庫で1〜2時間冷やして、風味がしみ込むのを待ちます。
- 飲む前に軽くかき混ぜてお楽しみください。

わたしはレモン×ミントのすっきりウォーターがお気に入り♡
水を飲むことは、簡単にできて美容効果も抜群。お気に入りのボトルを使ったり、スマートフォンのアラームやアプリを使って水を飲む時間を管理するのも楽しいですね。ライフスタイルに合った水分補給法を見つけて、ぜひ習慣にしてみてください。
参考文献
- National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. (2004). Dietary Reference Intakes for Water, Potassium, Sodium, Chloride, and Sulfate.
- Popkin, B. M., D’Anci, K. E., & Rosenberg, I. H. (2010). Water, hydration, and health. Nutrition reviews, 68(8), 439-458.
- Sawka, M. N., Cheuvront, S. N., & Carter, R. (2005). Human water needs. Nutrition reviews, 63(6), S30-S39.
- Boschmann, M., Steiniger, J., Hille, U., Tank, J., Adams, F., Sharma, A. M., & Jordan, J. (2003). Water-induced thermogenesis. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 88(12), 6015-6019.
コメント